だいぶご無沙汰しちゃいましたね、ごめんなさい。
受験者のためになると思われる記事、再稼働です(おっと原発は…)。
さて、以前から気になっていた、「直ちに」・「遅滞なく」・「速やかに」という宅建試験での表現なんですが、日常会話では、どれも「すぐに」というニュアンスでOKですよね。
でも、法令用語として使うときはちゃんと区別して用いられます。
この区別、みなさまは気になりますか?
doremi は、良いチャンスと思って調べてみました。
参考: 北海道庁ホームページ>ちょっと気になる法令用語
- 「遅滞なく」は、正当な理由、合理的な理由がない限りすぐに行わなければならないとされている。
- 「直ちに」は、理由はどうあれすぐに行わなければならない場合に用いられる。
- 「速やかに」は、訓示的に用いられ、すぐに行われなくても義務違反とはならないができるだけ早く行わなければならないとする場合に用いられる。
- 「遅滞なく」と「直ちに」は、すぐに行われなければ義務違反となり、違法となる場合が多いとされる。
また、昭和37年12月10日の 大阪高等裁判所の判決文では、これらの用語が解説されています。
宅建の過去問では、このように使われました。
-----直ちに------
[問 39] 宅建試験 平成25年度
(2)保証協会に加入した宅地建物取引業者は、直ちに、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に報告しなければならない。
(誤り-新たに社員が加入したときの報告は直ちにするが、するのは「保証協会」であり、加入した「宅建業者」ではない)
-----速やかに------
[問 31] 宅建試験 平成19年度
(4)丁県知事から取引主任者証の交付を受けている取引主任者が、取引主任者証の亡失によりその再交付を受けた後において、亡失した取引主任者証を発見したときは、速やかに、再交付された取引主任者証をその交付を受けた丁県知事に返納しなければならない。
(誤り-再交付されたものではなく、亡失後発見した主任者証を速やかに返納する)
-----遅滞なく------
[問 32] 宅建試験 平成21年度
(4)Aは、指定流通機構に登録した甲宅地について売買契約が成立し、かつ、甲宅地の引渡しが完了したときは、遅滞なく、その旨を当該指定流通機構に通知しなければならない。
(誤り-引渡しが完了しなくても、売買契約が成立したときは、遅滞なく通知する)
いずれも、誤りの肢で「直ちに」・「遅滞なく」・「速やかに」の用語が正しく使われているかを問うているのではなく、これらは飾りというか目くらましの効果を狙って問題を作成していると doremi は考えてます。
敵がそういう手を使ってくるなら、こちらも騙されないぞと構えて、上の問題を「直ちに」・「遅滞なく」・「速やかに」抜きで読んでみると、アララ普通の文章ですね!
こうすると惑わされないで済むように思いますが、皆さまはどうでしょう。
ちょっとしたことですが、少しでも問題のイヤラシイ言い回しに慣れていくことも、合格するために必要です。
なお、問題作成者が好んで使うこれらのイヤラシイ言葉は、宅建業法の条文にいくつも出てきます。
宅建倶楽部が公開してる「1条ずつ引ける宅建六法」で調べたところ、22ヶ所もありました。
「直ちに」くらいは覚えておいてもいいかも、です。参考にしてください。
-----直ちに------
-----速やかに----
-----遅滞なく------
- 第16条の7 2項
- 第16条の10 1項
- 第19条 2項
- 第20条
- 第29条 1項
- 第34条 2項
- 第34条の2 1項
- 第34条の2 6項
- 第34条の2 7項
- 第37条 1項
- 第50条の2の3 3項
- 第50条の8 1項
- 第63条 2項
- 第70条 2項
- 第70条 3項
- 第70条 4項
もし、勉強中に「気になる言葉、表現」に出くわしたときは、ブログの上にあるリンクからメールでその言葉をお知らせくださいね。
大勢のかたに役立ちそうだったら、このブログでも取り上げたいと思います。