2012年12月20日木曜日

宅建業法の舞台に登れない取引


宅地建物の
  • (売買)(交換)(貸借)を代理して 報酬を得る
  • (売買)(交換)(貸借)を媒介して 報酬を得る
  • (売買)(交換)を自らして      儲ける
この8種類の取引を「業」としてご飯を食べているのが宅建業者です。そして、8種類のどれかをする人(法人を含む)に目を光らせているのが宅建業法です。

よく見てみると、"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼしです。宅建業法の舞台に登らせてくれません。

つまり、自分の物件、会社なら自社物件を貸しても、宅建業法は相手にしませんから、ご自由にどうぞ! ということ。

理由は、自分で貸している小さなアパート・マンションの大家さんは全国津々浦々にあり、微々たる儲けしかないのに、宅建業の免許を取ったり、取引主任者を置いたり、営業保証金を供託させられるなんて、かわいそう!というか、自分で貸している小さなアパート・マンションの大家さんにお目こぼしすれば、アパート・マンションの供給がスムースになる、という政策です。

宅建試験では、この"(貸借)を自らして"も、お目こぼしなのに、あたかも宅建業法で規制されていると思わせる問題を作り、受験者の皆さまを混乱させようと、試験委員は手ぐすね引いて待ってます。

引っかかる人が結構いらっしゃるので、今のうちに対策を立てておきましょう。

その1 免許なんて不要

たとえば、平成24年[問 27] の肢2です。
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Cが自己の所有する宅地を駐車場として整備し、賃貸を業として行う場合、当該賃貸の媒介を、免許を受けているD社に依頼するとしても、Cは免許を受けなければならない。
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Cに免許が必要か?という問題です。
doremi だったら、D社については聞いていないから読み飛ばしちゃえ!です。

キーワードは、
"Cが自己の所有する宅地"
"駐車場として整備し、賃貸を業として行う"
です。

これだけで、Cが自己の宅地を自ら賃貸することが分かります。
ですから、「Cは免許不要」。答はバツ。


同じ問題の肢3です。
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Eが所有するビルを賃借しているFが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、Eは免許を受ける必要はないが、Fは免許を受けなければならない。
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キーワードは
"Eが所有するビルを賃借しているF"
"Fが、不特定多数の者に反復継続して転貸する"
です。

E所有のビルをFに貸すという行為="(貸借)を自らして"についてEは「免許不要」。
借りてるFがまた貸しする(自ら貸主になって不特定多数のものに反復継続してまた貸しするも、"(貸借)を自らして"に当たります。
だからFも「免許不要」。
結果E、Fともに「免許不要」で、答はバツ。


その2 事務所にならない


今度は平成7年 [問 44] の肢1です。
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甲県知事の免許を受けている宅地建物取引業者Aが、自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため、新たに乙県内に事務所を設けることとなった場合、Aは、国土交通大臣の免許を申請しなければならない。
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この問題、表面的には甲県知事免許のAは、国土交通大臣の免許を申請する必要があるかというものです。

キーワード
"自己の所有する建物を不特定多数の者に賃貸するため"
"新たに乙県内に事務所を設ける"
です。

甲県知事免許のAはキーワードから、"(貸借)を自らする"ための事務所を、甲県じゃなくて乙県に設置する計画があるんですね。

でも、"(貸借)を自らする"ための事務所なんて、机・電話・パソコン等が完備されていても、そんなの宅建業法上の事務所になんかしてくれませんよ。
なにしろ、"(貸借)を自らして"も、宅建業法の舞台に登らせてくれませんから。

だからこの問題の事務所は、すでに甲県にあるものだけです。新たに乙県内に設けるものは事務所扱いしないので、Aは、国土交通大臣の免許を申請する必要などなく、甲県知事免許のままでいいです。

だから答はバツ。


その3 取引主任者なんて不要


"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼし、宅建業法の舞台に登らせてくれないので、もしどこかに机・電話・パソコン等が完備された"自ら(貸借)専用"の事務所を設置しても、取引主任者なんて全然置かなくてOK!

この点は、まだ過去問がないです。


その4 担保なんて不要

"(貸借)を自らして"も、宅建業法はお目こぼし、宅建業法の舞台に登らせてくれないので、もしどこかに机・電話・パソコン等が完備された"自ら(貸借)専用"の事務所を増設しても、その分の営業保証金(500万円)や弁済業務保証金分担金(30万円)なんて全然不要!

この点も、まだ過去問がないです。


その5 業務上の規制なんて守らないでOK

この点は、平成24年 [問 28] 事例アに出ました。
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ア 建物の所有者と賃貸借契約を締結し、当該建物を転貸するための広告をする際は、当該広告に自らが契約の当事者となって貸借を成立させる旨を明示しなければ、法第34条に規定する取引態様の明示義務に違反する。
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業者は取引態様の明示義務に違反するかという問題=「宅地建物取引業法」に違反するかという問題ですね。

キーワード
"建物の所有者と賃貸借契約を締結"
"転貸"
です。

これだけで、事例アの業者は、自ら貸借という行為をするのが分かる(=「宅地建物取引業法」に違反しない)ので、法第34条に規定する取引態様の明示義務にも違反しません。

もうお分かりですね?。答はバツ。


その6 監督処分なんかされない


この点は、平成14年 [問 39] 肢2で出ました。

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Aは、自ら貸主となり、借主との間でオフィスビルの一室の賃貸借契約を締結した業務において、賃貸借契約書は当該借主に対して交付したが、重要事項の説明を行わなかった場合、これをもって指示処分を受けることはない。
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Aは指示処分を受けるかという問題=「宅地建物取引業法」に違反するかという問題。

キーワード
"自ら貸主"
です。

これだけで、「宅地建物取引業法」に違反しないので、指示処分を受けることもありません。
そのあと書いてあることは無視!しても大丈夫。答はマル。

はい、お疲れ様でした!

迷物講師は「宅建業法は横断的理解が最も重要」と年中言ってます。
今回は、その具体例の一つを記事にしてみました。

"横のつながり"を理解できる。 これって実は doremi が直前期に急に成績が伸びた要因なんです。
まだ12月。今から"横のつながり"を意識できたら、きっと来年は合格ほぼ間違いなしでしょう!